ゆるっとしたギャグが、とにかく楽しい

ゲーマーの宏嵩と、ヲタクの成海。同じ会社で働く二人のヲタクの恋の話、と言ってしまえばそれまでなのだけれど、この漫画のいちばんの魅力は、ゆるっとしたギャグがとても楽しいことだと思う。

大事件は起きない。誰かが誰かを裏切ったりもしない。ヲタク同士の会話が、ゆるく、テンポよく、ちょっとずれながら転がっていく。それだけで一話一話がちゃんと面白い。

疲れた日に、何も構えずに開ける漫画。読み終わったあとに残るのは「みんな幸せになってほしいなー」というほっこりした気持ちだ。

ゲーマー・宏嵩と、ヲタク・成海

主人公の桃瀬成海は、会社では隠しているけれど筋金入りのヲタク。転職先で再会したのが、幼なじみの二藤宏嵩。こちらは見た目も仕事もできるのに、中身はガチのゲーマーだ。

ヲタクであることを隠すのに疲れた成海と、それを全部知っている宏嵩。「隠さなくていい相手」と付き合い始めるところから、この物語は動き出す。

恋愛ものというより、ヲタク同士の日常の延長に恋がある、という距離感。だからこそ、無理に盛り上げなくても読んでいて心地いい。二人のやりとりの細かい中身は、ぜひ本編で。

分からないこともないのが、また面白い

かくいう自分も、漫画もゲームも大好きな人間だ。一般人よりは、はっきりヲタク寄りだと思う。3000冊以上マンガを読んでいる時点で、否定のしようがない。

だからこの漫画で描かれるヲタクのあるあるは、「分かる」とまではいかなくても「分からないこともない」ものが多い。そのちょうどいい距離感が、また面白い。自分のことを少しだけ笑われているような、でも嫌じゃない、そんな読み心地がある。

なお、BLは自分の守備範囲外だ。成海はそっち方面もしっかり守備範囲なので、そこは「へえ、そういう世界なのか」と眺める側にまわる。それでも置いていかれた感じはしないのが、この作品のうまいところだと思う。

樺倉と小柳の掛け合いもいい

宏嵩と成海だけでなく、先輩カップルの樺倉と小柳の掛け合いもいい。こちらは付き合いが長いぶん、遠慮がなくて、口げんかのようなやりとりがそのまま仲の良さになっている。

宏嵩と成海が「これから」のカップルなら、樺倉と小柳は「もうずっと一緒にいる」カップル。この二組が同じ職場にいることで、恋愛の温度が違う会話が並んで読めるのが楽しい。

どちらの組も、相手のヲタクな部分を否定しない。好きなものを好きなままでいられる相手と一緒にいる、というのがこの漫画のカップルたちに共通しているところで、そこが読んでいて気持ちいい。

みんな幸せになってほしい、と思える漫画

出てくる人たちが、みんないい。誰かを嫌いになる瞬間がなくて、「このカップルたち、みんな幸せになってほしいなー」と素直に思える。読んでいてほっこりする、というのはそういうことだ。

漫画やゲームが好きな人は、自分と重ねながら笑える。そうでない人も、ヲタクという生き物をやさしく眺める話として楽しめると思う。恋愛ものが苦手な人にも、ギャグの比率が高いので入りやすい。

単行本は全11巻で完結。休みの日にゆるっと一気に読むのに、ちょうどいい長さだ。

Verdict
総評 — ヲタクに恋は難しい
ゆるいギャグと、幸せになってほしいカップルたち

ゲーマーの宏嵩とヲタクの成海、先輩カップルの樺倉と小柳。ゆるっとしたギャグがとても楽しく、漫画もゲームも大好きな自分には「分からないこともない」のがまた面白い。みんな幸せになってほしいと思えるカップルたちに、読んでいてほっこりする一作。

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作品情報の確認:一迅社の作品ページ配信書誌(著者・巻数・完結情報)。2026年9月15日確認。リンク先のあらすじにはネタバレを含む場合があります。