まず結論から
「その着せ替え人形は恋をする」は、毎回違うキャラのコスプレ回が登場して、そのどれもが別ベクトルで面白い作品だ。雛人形職人の家系で育ったひかえめ男子・五条新菜と、コスプレに本気で全力なギャル・喜多川海夢(まりん)。この組み合わせの化学反応が、ジャンルとして新しい。
ただ、私が圧倒的に好きなのは——ハニエルコスのパートだ。あれを超える回はもう出てこない。
ハニエルコス回が、圧倒的すぎる
あのパートの何が凄いって、新菜の衣装の仕上がりと、まりんの「コスプレイヤー」としての完成度が、ぴたっと噛み合ってるところだ。
新菜は雛人形職人の血を引いていて、布や型紙の扱いは本職並み。それを初めて「人が着る衣装」として落とし込む過程の描写が、ものづくりとして見ても気持ちいい。生地の選定、パターン引き、縫い、装飾。完成までの工程が省略されずに描かれているからこそ、最後に着てもらった瞬間の「来た」感がデカい。
そしてそこに、まりんのモデル経験が活きた立ち振る舞いと視線が乗る。コスプレ=衣装を着るだけ、じゃない。キャラクターの体重移動、目線の置き方、手の角度、腰の入り方。あの「キャラとして生きてる感じ」を、まりんは自然にやってのける。
ぞっくぞくする。あのページに辿り着いたときの、読者としての満足度がとんでもなく高い。
どのコス回もそれぞれ別の魅力
ハニエルが圧倒的とはいえ、他のコス回も全部それぞれの良さがある。系統が違うから、毎回新しい体験になるのがこの作品のすごいところ。
可愛い系、清楚系、ダーク系、和装、SF風——衣装が変わると、まりんの見せ方も変わる。同じ人物が描かれているのに、回ごとに別人の魅力を発揮してくる。コスプレを題材にしてるから当然なんだけど、それが「マンガ表現」として成立してるのが偉い。福田晋一の絵の引き出しの広さに毎回驚かされる。
途中から登場するもう一人のコスプレイヤー(じゅじゅ様)の参戦で、衣装作り側にも別の視点が入ってくる。複数のコスプレイヤーがいる世界の解像度が、巻が進むごとに上がっていくのも面白い。
まりんという、ピュアな化け物
まりんちゃんが、ギャルというパッケージで包まれた、純度100%のオタクであることがこの作品全体を支えている。
「好きなものを好きと言える」「好きの理由を詳細に語れる」「好きの対象に全力を尽くせる」。この3つが揃ってる人間って、現実にもそういない。まりんはそれを照れもためらいもなく差し出してくる。だから読んでて気持ちがいい。
そして、新菜の雛人形作りに対しても同じ熱量で「すごい」と言える。自分の好きを大事にできる人は、他人の好きも大事にできる。この設計が本当によくできている。ラブコメの土台として強すぎる。
コミケ行ったことないけど、まりんのハニエルコスなら
私はコミケに行ったことがない。あの人混みも、徹夜組の話も、すべて遠い世界の話としてしか知らない。
でも、まりんのハニエルコスがそこにいるなら、行ってみたいと本気で思う。あの衣装の質感を、紙の向こう側じゃなく、実際の空間で見てみたい。立体としての衣装、動きとしての立ち振る舞い、リアルな視線。マンガという表現が「これは現実にあったら凄い」と思わせてくる時点で、もう作品の力としては充分だと思う。
これがフィクションだとわかっていても、そう思わせる説得力をマンガ単体で出してくるのが、この作品の本当の凄味だ。
- コスプレ・ものづくり描写が好きな人
- 「好きを全力で肯定するキャラ」が好きな人
- 絵の引き出しが広いマンガが読みたい人
- 完結作品で安心して読みたい人(全15巻)
- オタク文化に対する温度感が肯定的なラブコメを探している人
- 恋愛がガンガン進展するタイプを期待する人
- サービスシーンの多さが気になる人
- コスプレ・サブカル文脈に興味が薄い人
毎回別系統のコスプレ回が来るのに、どれも「別の良さ」を持って成立してる稀有な作品。その中でも、自分にとってはハニエルコス回が圧倒的だ。新菜の衣装の完成度と、まりんのモデル仕草。あれが噛み合った瞬間の破壊力は、マンガを読んでいて「ぞっくぞくする」と素直に思える数少ない体験のひとつ。コミケ未経験でも「行ってみたい」と思わせてくる、それくらいの説得力がある。
初回購入で70%オフクーポンが使えることが多い。電子書籍で全15巻を一気読みするなら、コスパは現状最強。Yahoo!アカウントがあれば迷わずここ。
ebookjapanで見る →