正直不動産の漫画感想|勉強になるから、一人暮らし前にも勧めたい

レビュー May 2026 連載中

不動産業界の闇と知識が同時に学べる、勉強系マンガとして抜群に面白い一作。文字も専門用語も多くて少々難しいが、それでも面白い。これから一人暮らしを始める大学生にこそ読んでほしい。

※本記事にはBOOK☆WALKER・楽天のアフィリエイト広告(PR)が含まれます。

ryah 約9分で読めます 2026年5月公開

原案夏原武
脚本水野光博
漫画大谷アキラ
出版社小学館
巻数24巻+ 連載中 連載中
連載2017年〜 / ビッグコミック
ジャンルお仕事 / 不動産 / 業界もの
メディアドラマ化済み(NHK/2022年・2024年)
目次

難しいところもある。それでも勉強になって面白い

めちゃくちゃ勉強になるし、めちゃくちゃ面白い。不動産業界という、誰もが一度はお世話になる、それでいて中身は素人にはまったく見えない世界。その内側を、嘘がつけなくなった営業マンの視点から覗ける作品だ。

マンガとしての面白さと、実生活に直結する知識量を、両方の手で同じくらい握っている稀有な一作。「面白いから読む」「勉強になるから読む」の両方の動機で開ける、贅沢な漫画体験になっている。

嘘がつけなくなった不動産営業マンの話

主人公は永瀬ながせ財地、登坂不動産のトップセールスマン。営業成績は社内一位、ただし顧客を上手く言いくるめる「嘘の達人」というスタイルで成り上がってきた男。

ある日、永瀬は祠を壊した祟りで「嘘がつけなくなる呪い」にかかってしまう。営業の生命線である「都合のいい嘘」が一切口にできなくなった彼が、顧客と業界の中でどう生き抜いていくか——という設定の不動産業界お仕事マンガだ。

構造としては1話完結に近い形式で、各エピソードで一つの不動産取引や業界の問題を扱う。賃貸契約のトラブル、両手仲介の闇、おとり物件、地面師、相続、リフォーム詐欺——「不動産でこんなにジャンルがあるのか」と毎話驚かされる豊富なテーマ設定が魅力だ。

小説を読むときのように、集中して読みたい

この作品の特徴は、文字が多く、専門用語も多く、少々難しいこと。マンガを「テレビや動画を見ながらサラッと読む」スタイルだと、情報が頭に入ってこない瞬間がある。

そのため、個人的にこのマンガは小説を読むときのように、ながら読みではなく集中して読みたいと感じている。マンガとしてはやや異例の読み方を要求してくるが、その代わりに、集中して読めば実生活に持ち帰れる知識がしっかり残る。「腰を据えて読むことに見合うリターンがある」タイプの漫画だ。

読み終わったあとに、不動産業者の前で言われる言葉の一つひとつが、別の意味で見え始める。マンガを読んでこれだけ「世の中の見え方」を変えてくれる作品は、業界もののジャンルでも上位に入ると思う。

「不動産業界には2種類の人間がいる」

不動産業界を表す皮肉として聞いた、「不動産の世界には2種類の人間がいる。悪い人間と、すごく悪い人間だ」という言い回しを思い出す。作中のセリフとして引用しているわけではなく、正確な出典や言い回しは確認できていない。それでも、この漫画に描かれる駆け引きを読んでいると、そう言いたくなる気持ちは分かる。

もちろん、業界の人がみんな悪いという話ではない。知識のある側と、よく分からないまま契約する側の差が大きいことに、読んでいて怖さを感じる。そんな中で嘘がつけなくなった永瀬が、どう仕事をするのかが面白い。

住居というのは、生きていく上で避けようがない。賃貸でも持ち家でも、人生のどこかで必ず不動産取引と向き合う瞬間が来る。そのときに、業者側の常識を知らない素人は、いくらでもぼったくられる側に回ってしまう。本作はその「ぼったくられない側」になるための、入門書としても機能する。

マンガを読んで知識が増えるだけでなく、自分の暮らしに関わることを、もう少し知っておこうと思える。そこがこの作品のいいところだと思う。

大学生・これから一人暮らしする人にこそ

この作品を一番強くおすすめしたいのは、これから一人暮らしを始める大学生だ。

大学進学で初めて部屋を借りる人もいると思う。初期費用、敷金、更新料、原状回復といった言葉も、最初はよく分からない。暮らしに必要なのに、知らないことが多い分野に興味を持つきっかけとして、この漫画はとてもいい。

大学生に「不動産の入門書を読め」と言っても、たぶん読まない。でも「面白い漫画があるよ」と渡せば、読む。本作は、知識ゼロの状態から不動産取引のリアルを学ぶための、最も読まれやすい入り口になっている。

これから一人暮らしを始める人には、まず面白い漫画として読んでみてほしい。契約の前に、分からないことをそのままにしない意識につながると思う。ただし作品はフィクションなので、漫画だけで契約の判断をせず、実際の条件や最新の情報を確認することは大切だ。

もちろん、すでに不動産を所有している人や、これから家を買おうとしている人にも刺さる。不動産取引が人生で1回でも発生する予定があるなら、読んで損は無い。

嘘がつけない永瀬の表情も見どころ

大谷アキラの絵は、ビッグコミック系の落ち着いた青年マンガ路線。キャラの顔の描き分けがしっかりしていて、表情の機微で「この人は嘘をついている」「この人は本当に困っている」が伝わるのがお仕事マンガとして強い。

特に永瀬の「呪いで嘘が口から出ない」瞬間の表情演出が秀逸。顧客の前で嘘を吐き出そうとして、口元が引きつるあのコマ——営業マンとして致命的な瞬間が、毎話違うパターンで描かれる。同じ「嘘がつけない」設定で何十話も読ませてしまうのは、絵の説得力が大きい。

専門用語が多いので、腰を据えて読みたい

前述したとおり、文字量と専門用語の多さは人を選ぶ。マンガを娯楽として軽く読みたい人には、初回のハードルが高めだ。気が乗らない時に開くと、情報量に押し戻されることもある。

それから、不動産業界の闇を描く作品なので、トーンは基本的にシビア。明るく爽快な気分で読み終わる、というタイプの漫画ではない。読後に「現実に怒り」「現実への警戒心」が残るタイプ。それも本作の魅力ではあるが、心が疲れている時にはあまり勧められない。

Verdict

総評 — 正直不動産を読むべきか

こんな人におすすめ

  • これから一人暮らしを始める大学生(最重要)
  • これから家を買う・借りる予定のある人
  • 業界もの・お仕事マンガが好きな人
  • マンガから実用知識を得たい人
  • 集中して腰を据えて読むタイプの漫画が好きな人

こんな人には向かないかも

  • ながら読み・気楽な娯楽として漫画を読みたい人
  • 専門用語の多い作品が苦手な人
  • 明るく爽快な読後感を求める人

これから一人暮らしする大学生に、特におすすめしたい

勉強になる × 面白い、を両立した稀有な業界マンガ。住居は誰もが避けては通れない人生のテーマで、本作はその世界の内側を素人にも分かる形で見せてくれる。読まなかった場合に自分が損する金額が、目に見えるタイプの漫画は、なかなか他に無い。集中して腰を据えて読む価値のある一作。これから一人暮らしを始める大学生には、特に強くおすすめしたい。

Where to Read

「正直不動産」の購入先を探す

BOOK☆WALKER・楽天は広告(PR)です。リンク経由の購入などで紹介料を受け取る場合があります。

BOOK☆WALKER(電子書籍・PR)

電子版をお探しの方はこちら。

初回特典は購入時の値引きではなく、次回以降に使えるコイン還元です。登録済みで未購入の方も、対象条件・有効期限はBOOK☆WALKER内の案内でご確認ください。

楽天ブックス(紙の本・PR)

紙の本の検索結果から、欲しい巻やセットを探せます。版・巻数・セットの有無・在庫は販売ページでご確認ください。

Related Reviews

関連レビュー

お仕事 / 警察 / コメディ

ハコヅメ〜交番女子の逆襲〜

Hakozume: Kouban Joshi no Gyakushuu

本編23巻・第一部完結

お仕事 / 社会人ドラマ / コメディ

今どきの若いモンは

Imadoki no Wakaimon wa

26巻+ 連載中

ハッカー / IT / サスペンス

王様達のヴァイキング

Ousama-tachi no Viking

全19巻

公開日: 更新日:

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

目次