まず結論から
最近のイチオシ。絵がきれいで、ヒロインのひーちゃんが攻撃力高すぎて、読んでいる間ずっと心がやられている。連載中の作品なのに、すでに何度か読み返している。
姉と弟(旭)の家にいりびたる、姉の親友ひーちゃん。完璧にかわいくて、距離が近すぎて、オタク男子高校生の旭が翻弄されっぱなし——という、シンプルな設定で成立しているラブコメ。設定はシンプルなのに、ページを開くたびに胸を持っていかれる、そういう類いのマンガだ。
どんな漫画か
主人公は、姉とふたり暮らしのオタク男子高校生・旭。彼の家には、姉の親友であるひなこ(ひーちゃん)がしょっちゅういりびたっている。完璧に顔がよくて、性格も飾らなくて、なぜか旭との距離が異様に近い。
物語の大筋は、本当にそれだけ。大きな事件はない。ひーちゃんが家にやってきて、旭がドキッとして、姉が呆れる。それを毎話毎話、違う角度で描いていく。ラブコメとしての骨格は王道だが、ひーちゃんというキャラクターの強度で、王道がそのまま唯一無二になっている。
ひーちゃんが攻撃力高すぎる
この漫画の核はここだ、と言い切れる。ひなこ(ひーちゃん)の、かわいさの攻撃力が高すぎる。
表情、仕草、距離感、ふとした一言——すべてが「いやそれは反則だろ」と読み手にツッコませてくる。狙ってやっているわけではなく、ひーちゃん本人にとっては自然な振る舞いなのに、それが旭にも読者にも、毎ページ的確に刺さる。恋愛漫画でよくある「萌えポイントの羅列」とは違って、ひーちゃんはひとつの人格として攻撃力が高い。これは作家の力量の話だと思う。
2000冊以上読んできた中で「かわいい」とされるヒロインは無数にいるが、ひーちゃんはその中でも記憶に残る部類だ。かわいいが、強い。そういう種類のヒロインに出会えるのは、何年に一度かしかない。
「自分にもこんな姉のともだちが欲しかった」
これは読みながら何度も思った。自分にもこんな姉のともだちが欲しかった。正確に言えば、自分の人生にひーちゃんのような存在がいてほしかった。
姉の親友という距離感は絶妙だ。家族ではないから他人行儀になりすぎない、しかし他人ほど遠くもない。日常の延長線にいながら、家族ではない人間がそこにいる、という関係性。この設定が、旭にとっての非日常を、無理なく日常に溶け込ませている。そして読者である自分も、ひーちゃんが家にいるあの空気感を「自分の経験として欲しかったな」と疑似体験させられる。
マンガを読んでいて「自分の人生にもこの関係性が欲しかった」と思わされる作品はそう多くない。姉のともだちは、自分にとってそういう数少ない作品のひとつになりつつある。
旭との関係 — くっつきそうで、くっついてほしくない
作品全体を通して、ひーちゃんと旭の関係はずっと「もうそろそろ何かありそう」な空気をまとっている。距離が近すぎて、そういう瞬間が頻繁に訪れる。読者としては、応援しているのに——
正直に言うと、ずっとくっつきそうでくっつかないでいてほしい。これはラブコメ読者の身勝手な願いだとは分かっている。二人の関係が進展してほしいという気持ちと、いまの「もうちょっとで何かありそう」な空気をずっと吸っていたいという気持ちが、自分の中で同時に存在している。
この緊張感が、姉のともだちの読書体験の半分を作っていると思う。結ばれてほしいけど、結ばれてしまうとこの空気感は終わってしまう。そういうジレンマを抱えながら次の話を待つ、というのがこの作品の正しい楽しみ方なんじゃないかと、最近は思っている。
絵・演出について
高瀬わかの絵は、線が綺麗で、色気と健康的な可愛らしさを両立している。ひーちゃんが「かわいい」と感じられるのは、絵の力が大きい。表紙だけで作品の雰囲気がほぼ伝わるタイプの絵で、本屋で偶然出会えば手に取りたくなる。
日常の小さなコマでの表情の付け方も巧い。ひーちゃんの「ちょっと意地悪な笑顔」、旭の「狼狽える顔」、姉の「呆れた顔」。三人の関係性が、台詞を読まなくても表情だけで伝わる場面が多い。絵が雄弁に語る漫画として、シンプルなストーリーをきっちり成立させている。
気になった点
大きなストーリー展開はほぼ無い、ひーちゃんと旭のじゃれ合いを延々と読む類の漫画なので、骨太の物語を求めている人には合わないかもしれない。「日常系のラブコメ」が刺さらないと、何も起きていないように見えるはず。
それから連載中なので、読み始めた人は続きを待つ生活になる。これは弱点というより仕様だが、自分のように先が気になりすぎて落ち着かない人には、もう少し巻数が貯まってからの一気読みも一つの手だ。
- 絵がきれいなラブコメが好きな人
- 「かわいいヒロイン」を浴びたい人
- 「もうちょっとで何かありそう」な空気が好きな人
- 日常系ラブコメで心を回復させたい人
- 連載中の作品を追いかける生活を楽しみたい人
- 大きなストーリー展開を求める人
- 日常系ラブコメが刺さらない人
- 続きを待つ生活が苦手な人(一気読み派)
最近のイチオシ作品。絵がきれい、ひーちゃんが強い、旭との関係はずっとくっつきそうでくっつかないでいてほしい。この三拍子が揃っているラブコメは、自分の経験上そう多くない。連載中なので一緒に追いかけてくれる読者が増えるとうれしい、そういう気持ちで書いた一本。自分にもこんな姉のともだちが欲しかった、と何度でも言いたくなる。
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